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渡辺鉄太『緑の森のバイリンガル』を読む

渡辺鉄太『緑の森のバイリンガル~多言語文化社会での子育て、オーストラリアでの実践』三修社、を読んでいます。昨年出版された本です。

著者である渡辺氏は、娘さんが1歳のときに日本人の奥さまとメルボルンに引っ越しています。モナッシュ大学で言語学のPhDを取得後メルボルン大学で日本語を教えた経歴を持っています。そのため、バイリンガルに関する専門的知識をもとに、「英語と日本語の環境で子どもが育つこと」について日常の子育て場面に沿って分かりやすくこの本を書かれています。魅力的なのは、成長するにつれ英語が中心になっていく娘さんの生活を肯定しつつ、家庭では日本語を強制せずに日本語での語りかけを辛抱強く続けているところ。忍耐強い日々の実践で、とても勉強になります。

また、メルボルン東部の地理感覚を養うのにも役立ちそうです。奥さまが描かれたステキな手書きの地図の添えてあり、郊外にどんなエスニックコミュニティが形成されているのかわかります。

オーストラリアで生活していく場合、「子どもに日本語での力をどの程度つけさせたいのか」は大きな課題でしょう。話すことが出来れば良いのか、ある程度の読み書きまでできるようになって欲しいのか。はたまた日本語を使って、日本のカリキュラムを理解するレベルを目標とするのか・・・などなど。

この話の延長線上として、オセアニア教育学会・勉強会ではこんなアドバイスをいただきました。「住む場所を決めるにあたって日本語補習校に通わせるのか、通わせないのかを先に決めたほうがよい。」毎週末のことだから補習校まで遠いと家族の負担も大きいからだそうです。lakemakenzieさんにも同様のコメントをいただいています。なるほど、なるほど。

どこに住むにしても、子育てとは様々な決断を要するものですね。
Commented by yuuyuu at 2006-07-15 21:34 x
私の周りにも日本語に限らずバイリンガルの子ども達や
ご家族がたくさんいらっしゃいますが、
その状況も家庭環境も様々でアイデンティティのとらえ方、
語学習得のプロセスも十人十色ですよね。

ただ一番大切なのはバイリンガル教育が
お子さん本人に大きな負担がかからないようにすることですよね。

そのお子さんが人として素晴らしい成長を遂げてくれれば
話せる言語がいくつであってもとても幸せなことですよね。

私たち教師もそれを見失わないようにしなくちゃ!っていつも思ってます。
Commented by carparkee at 2006-07-15 22:01
素敵なコメントありがとうございます。

先日、NZの中国系移民2世が監督をしたドキュメンタリー映画をyellow-bus(主人)が観てきまして「考えさせられた」と頭を抱えていました。監督の視点が親との葛藤を抱える自分の姿と重なり、また監督のご両親の視点がこれから子育てをする父親としての自分と重なる・・・というようなことを言っていました。

ことばだけでなく、子どもが自分のアイデンティティをどう形成していくのか、楽しみでもあり不安でもあります。オーストラリアで暮らすことにするのは私たちですし、強いることから得られるものはきっと少ないですよね。

教師として、常に弱者の立場に立った視点を持つ実践は優れています。おっしゃる通り見失わないようにしたいと思います。
Commented by kazinvic at 2006-07-16 21:00
日本語補習校の他に、普通の授業を英語と日本語で行っている、バイリンガルの公立小学校が2校あります。どちらも南東部です。選択肢の一つとして、良いかもしれませんね。
Commented by carparkee at 2006-07-16 21:52
>kazinvicさん、こんにちは。
そういえば、「日本語とのバイリンガル教育で実績のある小学校が二つある」と聞いたことがあります。一つはハンティングデール、もう一つはオークレイだと聞きました。聞いたまま調べずにいたのですが南東部なのですね、地図で確認してみたいと思います。ありがとうございます。
Commented by kazinvic at 2006-07-17 07:59
一つはハンティングデール(Huntingdale)、もう一つはコーフィールド(Caulfield)にあります。HuntingdaleはOakleigh Southの隣にある小さいサバーブで、Huntingdaleと言っても知らない人が多いので、よくオークリー(Oakleigh)と言う人もいます。なので、オークレイとお聞きになったのは、おそらくHuntingdaleのことではないでしょうか。Melwayの69J11です。実は3年前まですぐ近くに住んでいたので、ここは知っているのですが、すみません、Caulfieldの方は、具体的にどこにあるのか分かりません。
Commented by carparkee at 2006-07-18 09:42
>kazinvicさん
またまた情報、ありがとうございます。
早速Melwayで確認してみました。
Hunting daleの小学校の場所が分かりました。お近くに住んでいらしたことがあるのですね。市街からもさほど離れておらず、素敵な住宅街ではないかと想像しています。
もう一つの小学校については、また調べてみたいと思います。Caulfieldにあることは確かなようですね。
Commented by studyeng4 at 2006-07-21 16:26
補習校ですか…。そこまでとても考えていませんでした。確かに定住先を決める前に、子供にどんな環境を作ってあげられるか考える必要がありますね!移住でどうしても大人の都合ばかり考えてしまいがちですが、こうしてアドバイスをいただき大切さがよくわかるようになりました。
Commented by carparkee at 2006-07-22 21:40
>studyeng4さん
私もその話を聞いた時は「そんなことまで考えないといけないのか」とクラクラきました。しかし、話しているうちに、その方が最初のお子さんの小学校選びに失敗した経験があり、また様々なケースを見てこられている上で大切だと思ったことを話してくれていると感じたので「なるほどー」と勉強して帰ってきました。
私もときどき移住がらみで「大人中心過ぎるかな」と考えてしまうことがあります。でも、やはり親が安定しないと子どもも安定できないのも事実だと思います。悩ましいところですね。
studyeng4さんともいろいろ情報交換ができたらよいです。
Commented by mrsmorry at 2006-07-23 21:38 x
はじめまして。inch(にほんごえほんとしょかん)から、yellow-busさん経由できました。私が住んでいるのは、NZ(オークランド)ですが、やはり補習校は、片道30分くらい離れると通うのに、体力、要ります。

お子さんの年齢にもよりますが、入学まで時間があれば、一旦、仮の場所を決めて、現地でゆっくり探すのもいいかもしれません。

それはそうと、『うちでは、強制せず、辛抱強く語りかける。。。』。頭が痛いです。うちの子は、今は、少し、英語の方に興味があるみたいなので、日本語も、アフタースクールとラボと、家族の会話で当分いこうかな・・・。

この本読んでみたいです。図書館にあるかな?????? まさかないでしょう???!
Commented by carparkee at 2006-07-23 22:32
>mrsmorryさん
はじめまして。コメントありがとうございます。

そうですか、補習校まで片道30分できついですか・・・。
考えてしまいます。毎週のことですものね。
もし子どもが増えたら、「下がまだ小さい」とか「どちらかが風邪を引いた」などと通いにくくなる要因も増えるのでしょうね。

渡豪する予定の時期ですと子どもは2歳半で、アドバイスをいただいたように仮の場所を決めて、それからじっくり進めていくのが一番ではないかと考えています。

オークランド、懐かしいです。今はオークランド大学に統合されてしまいましたが、ACEに在籍し、Mt.Albertに1年近く住んでおりました。

この本を書かれた渡辺氏は、メルボルンで「メルボルンこども文庫」を主催し、絵本の読み聞かせを続けていらっしゃる方です。本当に素敵な本でしたのでお勧めです(残念ながら図書館にはないと思われますが)。自分の子どもとの関わり方について考えさせられました。「強制せず、辛抱強く・・・」うーん、神の域かもしれません。
Commented by zan01222au at 2006-07-28 15:03
皆さんのご意見とても参考になります。子供にはバイリンガルになって欲しいと思っているのですが、どの程度日本語をと言われると、確かにそうですよね。うちはまだ生まれてきてないのでなんとも言えませんが、オーストラリアで、のびのびと育って欲しいものです。子供の状況に合わせて考えて行きたいと思います。妊娠4ヶ月目の妻は胎教で、英語(イングリッシュアドベンチャー「ドリッピー」)とピアノ(自分で演奏)を聞かせているようです。
by carparkee | 2006-07-15 10:24 | 移住まで あれこれ | Comments(11)